お電話でのお問い合わせ075-221-6323

先週に引き続き、肝臓のお話です。
肝腎要(肝心要)と云われる肝臓の機能が低下すると「気力が出ない」「お酒がまずい」「ストレスに弱い」「食欲不振」「イライラ」「憂鬱」などが起こりやすくなると云われています。

肝臓の働きには、有害物質の解毒、食事から得た栄養成分を体内で活用できる形に分解&合成するなどがありますが、その他はどのような働きがあるのでしょうか?
今回は、肝臓で作られる胆汁のこと、そして関連する生薬として熊胆・熊の胆(くまのい)を取り上げてみましょう。

肝臓には胆汁を作る工場の働きがあります。
胆汁の成分は9割が水分です。その他は、脂肪の消化や吸収を助ける働きの胆汁酸、胆汁の色素成分のビリルビンや、コレステロールになります。
胆汁は1日約600~1000ml作られ、いったん胆嚢に濃縮して溜めておき、必要に応じて胆管を通り十二指腸に送られ消化液として、また肝臓で解毒した分解物を排泄する働きがあります。
例えば焼肉、から揚げ、天ぷらなどの油っぽいものを食べると、そこに含まれる脂肪は、唾液や胃液、膵液では消化できません。
膵液に含まれる脂肪を分解する酵素(*1)は水溶性で、油と水は混ざらないので消化出来ないのです。
そこで油汚れのお皿を洗う洗剤のような働き(*2)を胆汁がしてくれ、脂肪があたかも水に溶けた状態になり(*3)、膵臓から出る脂肪分解酵素(*1)によって消化されるのです。
若い頃は霜降り肉を美味しく頂けたのに、年齢と共に脂身の少ない赤身肉へ、更に牛や豚のお肉より魚貝類、しかも脂身の少ないお魚でないと食後に胃もたれ感じるようになった方いらっしゃいませんか?
それは私たちの身体に備わるホルモンの働きも、理由の一つです。
唾液や胃液に含まれる酵素では分解されないまま十二指腸に送り込まれた脂肪分に対し、対応する消化管ホルモン(*4)が分泌され、先に紹介した胆嚢に蓄えられていた胆汁が出て、膵臓から脂肪分解酵素(*1)やタンパク質分解酵素(*5)の放出が進むと同時に、胃から十二指腸への出口をしばらく閉じるのです。
食後の胃もたれや膨満感、胸のつかえ、食欲不振でお悩みの方は、胃に原因を求めがちですが、もしかしたら肝臓や胆嚢の働きが原因かもしれませんね。
その他に胆汁は、大便の色にも深く関係しています。
胆汁に含まれるビリルビンと呼ばれる色素の影響で、普通便では黄褐色になりますが、肝臓や胆管にトラブルが発生し胆汁が作られなくなる場合や、何らかの事情で胆管が詰まって胆汁が腸に出なくなると白色又は白に近い灰色の便(灰白色)になることもあります。また何かのトラブルで腸の中に大量の胆汁に含まれる色素が溜まり、酸化することで緑色の便なることにもつながります。(*6)
ところで漢方の世界では、動物生薬である熊の胆嚢「熊胆(ゆうたん)」「熊の胆(くまのい)」と呼ぶものを使用します。
古くから胃腸薬として用いられ、癪(しゃく)と云う胆石症の特効薬として知られていました。
五臓六腑で云う「心(しん)」「肝(かん)」「胆(たん)」「胃」に作用し、感染症による発熱や痙攣(けいれん)、意識混濁の他、疼痛、目の炎症、角膜混濁、腫れ物に用います。(*7)
味はとても苦く、儒教の創始である孔子が云われたように「よく効く薬は苦いが、よく病気を治す」の世界です。
熊胆・熊の胆だけで飲む場合は粉末にしてオブラートに包めばスムーズに飲むことが出来ます。
成分にはタウリンやウルソデオキシコール酸他含まれ、このウルソデオキシコール酸の働きは、利胆作用や肝細胞保護作用、胆石溶解作用があります。
例えば熊の胆(くまのい)・熊胆が配合されています代表的な漢方薬に「六神丸」を挙げることができますが、腹痛、胃腸炎(*8)、食あたりなどに役立ちます。
他の効き目として、めまい、息切れ、元気をなくした人の気持ちを引き立たせたり、気を失った人の意識をはっきりさせたりさせる働きの気つけとしても役立ちます。ちなみに六神丸は48粒入り 6.600円です。
これらの症状でお悩みの方がいらっしゃいましたら、是非阪本漢方堂を教えてあげてくださいね。
相談のできる薬局 阪本漢方堂
価格:令和7年11月現在税込価格
*1リパーゼ *2界面活性剤 *3乳化
*4コレシストキニン-パンクレオザイミン *5トリプシン
*6暴飲暴食、腸炎、黄疸、溶血性貧血、腸肝循環不全
*7清熱、解毒、明目、止痙 *8胃腸カタル