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 「肝臓の働き① 茵陳蒿湯 茵陳五苓散」

肝腎要(肝心要)と云われる肝腎(肝心)の漢字は、広辞苑には「(肝と心、肝と腎とはともに人体に大事なところであるからという)肝要。大切。」とあります。

肝臓の機能が低下すると「気力が出ない」「お酒がまずい」「ストレスに弱い」「食欲不振」「イライラ」「憂鬱」などが起こりやすくなると云われています。

 

 

 

 

人間の身体の中で最も大きな臓器で重さは約1Kgもあり、右の上腹部に位置します。

先日お越しのお客様が「肝臓はビールやお酒を飲んだ時に分解してくれるので、解毒・デトックスする場所よね」とおっしゃいました。

さて肝臓はどんな働きをしているのでしょうか?

 

まずはタンパク質の代謝や合成です。

お肉や魚介類、大豆などのタンパク質を食べると消化管でアミノ酸に分解され、腸の壁から血液に入り肝臓に運ばれます。そして様々な働きをするタンパク質(アルブミンやグロブリン)を作り、血液に流し出し、栄養として、また体内で作られたホルモンを必要な場所への運搬や、免疫に関わる材料になります。(*1)

 

ところで、余ったタンパク質は溜めることはできません。

タンパク質の素であるアミノ酸は、酵素によって分解されアンモニアになります。あの独特の刺激臭の有害なアンモニアが私たちの身体の中で作られているのです。でも大丈夫、ちゃんと肝臓で分解し尿素に変えて血液中に流し、最後は腎臓から尿に捨ててくれるのです。

これが、肝臓の働きの1つ、「有害物質の解毒」です。

 

同様の働きはアルコールの分解でも役立っています。

アルコールを飲むと腸だけでなく胃からも吸収され、肝臓に集まってきて、アルコールを分解する酵素(*3)によってアセトアルデヒドに、次に酢酸に、最終的に二酸化炭素と水に分解してから、息や尿と共に体外に捨てます。

肝臓の分解能力以上にアルコールを飲むと「お酒がまずい」「酒に弱くなった」「二日酔いでつらい」「急性アルコール中毒」へとつながります。

 

一方、アルコールを分解する酵素の働きを支えている栄養素もあります。ミネラルの仲間、亜鉛です。

食事やサプリメントに含まれる亜鉛は、アルコールの影響で腸管からの吸収が妨げられたり、また尿中へ捨てられたりして、体内の亜鉛レベルが低下することが指摘されています。

現代人は亜鉛の摂取量は推奨量に満たないとされています。

また肝臓病(*2)の方は、亜鉛の排泄量が多くて亜鉛不足になり、その結果アルコールを分解する酵素の他、活性酸素を消去する酵素などの働きが低下し、肝臓の働きが悪くなります。

 

阪本漢方堂には「肝臓を守る」情報の他、亜鉛を補充する食生活のアドバイス、肝臓の働きを助ける生薬・漢方薬の情報がございますので、ご相談くださいね。

 

本日はその中から、キク科のカワラヨモギをご紹介致しましょう。

生薬名を茵蔯蒿(いんちんこう)と云いまして、肝障害改善、抗炎症、解熱、利尿、抗真菌作用が報告されており、胆汁の出を改善したい場合に用います。

 

 

 

 

また、上腹部が詰まったように腹が張る、便秘になりやすい、尿量少ない、口が乾く、といった症状には、クチナシの実(山梔子:さんしし)と、タデ科の大黄(だいおう)を加えた処方「茵蔯蒿湯(いんちんこうとう」として用います。

この漢方薬は蕁麻疹(じんましん)や口内炎にも役立ちます。

 

また便秘は無く下痢軟便タイプの方で、茵蔯蒿湯が使用しにくい場合は、水はけを良くする漢方薬(*4)五苓散(ごれいさん)にカワラヨモギを加えた茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)の使用を検討します。

相性の良い生薬を組み合わせることで目的とする方向に導いてくれるので、漢方はとても興味深くおもしろい世界です。

 

複数ある肝臓の働きの中から、タンパク質の代謝や合成、有害物質の解毒を取り上げました。

皆さんの周りに肝臓の働きが気になる人がいらっしゃいましたら、是非阪本漢方堂を教えてあげてくださいね。

相談のできる薬局 阪本漢方堂

 

*1血漿タンパク質の合成  *2肝炎、肝硬変

*3アルコール脱水素酵素Alcohol Dehydrogenase *4利水剤

 

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